ファイナンシャルプランナーは本当に自分で資産形成できているのか?――FP業界のリアルと「本物のFP」の見分け方
「ファイナンシャルプランナー(FP)って、お金のプロなんですよね?」
「じゃあ、その人自身はどれくらい資産を持っているんだろう?」
投資や資産形成に興味を持ち始めた人なら、一度はそんな疑問を抱いたことがあるかもしれません。
私自身も、FPとして情報発信や相談業務を考えるようになってから、ずっと心のどこかにこの問いを抱え続けてきました。
街中には「無料マネー相談」「初心者向け資産運用セミナー」といったポスターや広告があふれています。
ショッピングモールではキッズマネースクールや親子向けマネーイベントが開かれ、「お金のプロ」が優しい笑顔で迎えてくれる。
ただ、その光景を眺めながら、私はいつも胸の奥に小さな違和感を覚えていました。
「この人たちは、本当に自分自身の資産形成がうまくいっているのだろうか?」
「FPとして話していることと、自分が実際にやっていることは一致しているのだろうか?」
この記事では、
・日本におけるFPの実態
・私が実際に見聞きしたFP業界のリアル
・そして「本当に信頼していいFP」を見抜くための視点
について、できるだけわかりやすく、かつ実体験を交えながらお話ししていきます。
■ 日本にいるFPは20万人以上。しかし「資産形成の成功者」はごく一部
まず押さえておきたいのは、「FPの数」と「中身」の話です。
日本FP協会の公表情報などを参照すると、AFP・CFP資格認定者、協会会員、さらにファイナンシャル・プランニング技能士を含めると、FP関連資格を持つ人は20万人超の規模だと推定されます。
ただし、「FP資格を持っている = FPとして独立して活動している」という意味ではありません。
実際には、銀行・証券・保険会社の社員、住宅営業担当者、一般企業のサラリーマンが自己啓発で資格を取得しているケースも多く含まれます。
つまり、「FP資格を持っている人」と「FPとして食べている人」は、まったく別の集合だということです。
さらに、ここからが本題です。
「その中で、実際に自分自身が資産形成に成功しているFPはどれくらいいるのか?」
一般世帯では、純金融資産5000万円以上の「準富裕層」と呼ばれる層は全体の数%に過ぎません。
FPであっても同じように、あるいは少し高い程度の割合だろうと考えられます。
厳密な統計データはありませんが、
私の実務経験やデータ、周囲のFPとの対話から推測すると、次のようなイメージです。
- 金融資産5000万円以上のFP …… 全体の1〜2割程度
- 金融資産1億円以上のFP …… 全体の1%あるかどうか
もちろん、これはあくまで推計に過ぎません。
しかし、少なくとも「FPだからみんな資産形成に成功している」というイメージは現実とかけ離れている、ということは伝えたいポイントです。
FP資格はあくまで「お金に関する知識を学びました」という証明であり、
「知識を、自分の人生に活かして資産形成を成功させているかどうか」は、まったく別の話なのです。
■ キッズマネースクールで知った、「無料相談」の本当の狙い
ここからは、私自身の体験談です。
ある休日、家族でショッピングモールに出かけたときのこと。
中央のイベントスペースで「キッズマネースクール」と書かれたカラフルなブースを見つけました。
子どもたちが小さな店員さんになって、「いらっしゃいませ!」と元気な声を出している。
親としては微笑ましい光景であり、金融教育にも興味があった私は、自然と足を止めました。
スタッフの方に声をかけられ、子ども向けのお金のゲームがあること、
そして同じ時間帯に、親向けに「お金の勉強会」が開かれることを聞きました。
せっかくの機会だし、どんな話をしているのか知りたい。
私は家族と一緒に、そのイベントに参加することにしました。
子どもたちは別室でゲーム形式でお金の仕組みを学び、
親はセミナールームのような場所に集められ、スーツ姿のファイナンシャルプランナーが前に立ちました。
内容は、いわゆる「王道のマネーセミナー」です。
言っていることは決して間違いではありません。
私も投資を勉強してきた立場から、うなずける部分も多々ありました。
しかし、最後のパートで雰囲気が変わります。
講師のFPは、こう切り出しました。
「本日は特別に、参加者の皆様限定で無料の個別相談を受け付けています。」
「保険の見直しでも、将来の資産形成の相談でも、なんでもご相談ください。」
「必要な方には、私が取り扱っている金融商品をご案内させていただきます。」
その瞬間、私の中で違和感が確信に変わりました。
「ああ、このイベントのゴールは“金融商品を販売すること”なんだな。」
子ども向けの金融教育イベントは、親を集めるための入り口。
親向けセミナーは、保険や投資信託などの販売への導線になっている。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ビジネスとしてはむしろ自然な構造です。
問題なのは、多くの参加者がそれを知らないまま、「中立な立場のFPのアドバイス」だと信じてしまうことです。
■ 「無料相談」は本当に無料なのか?――FPビジネスの構造
FP業界には、表向きには語られにくい「ビジネスモデル」が存在します。
多くのFPは、次のような形で収入を得ています。
つまり、
「無料相談」=「将来の商品販売につながる見込み客との接点」
なのです。
これは、倫理的に問題があるという話ではなく、単純に「ビジネスとしての構造」の問題です。
企業に所属しているFPであれば、当然のことながら売上目標やノルマもあります。
ただ、相談者側がその事情を知らないまま、
「この人は中立でフラットな立場からアドバイスしてくれている」と信じてしまうと、
不必要な保険や、手数料の高い投資商品を契約してしまうリスクが高まります。
たとえば、本来なら低コストのインデックスファンドで十分なところを、
販売手数料や信託報酬が高い商品をすすめられてしまうケースも珍しくありません。
だからこそ、私たち相談者側は、
「無料である理由」「なぜこの場所でFP相談を開催しているのか」
という視点を持っておくことが、防御線になります。
■ 「知識だけのFP」と「経験を語れるFP」――決定的な違い
では、私たちはどうやって「本当に信頼できるFP」を見極めればいいのでしょうか。
ポイントは、とてもシンプルです。
「その人が、自分自身のお金でどれだけ経験を積んできたか」を見ればいいのです。
知識だけのFPは、教科書に書いてあるフレーズをスムーズに話せます。
- 「長期・分散・積立が大事です」
- 「インフレに備えましょう」
- 「リスクとリターンは表裏一体です」
もちろん、どれも間違いではありません。
しかし、それだけなら本を数冊読めば誰でも言える言葉でもあります。
一方で、経験のあるFPは、語る内容が違います。
- 自分がどんな投資をしてきたか
- 過去にどんな失敗をして、どう乗り越えたか
- 暴落のときに、どんな心理状態になり、どう行動したか
こうした話は、実際に自分のお金をリスクにさらし、
痛みや不安を経験した人にしかできません。
暴落は画面上の数字の変動ではなく、
「眠れない夜」「胃が締め付けられるような感覚」とセットでやってきます。
そのリアルな体験を経た人は、言葉の選び方や説明の仕方に、自然と重みが宿ります。
だからこそ、FPと話すときには、ぜひこんな質問をしてみてください。
- 「あなた自身は、どんな投資をしていますか?」
- 「これまでの投資で、どんな失敗をしてきましたか?」
- 「暴落が起きたとき、どう対応しましたか?」
この質問に対して、
自分の具体的な経験を、迷いなく、率直に話してくれるFPであれば、
少なくとも「机上の知識だけではない」ということがわかります。
■ 私自身の失敗と、「再現性のある方法」へのこだわり
ここで少し、私自身の話をさせてください。
今でこそ私は、S&P500や全世界株インデックスを中心に、
「売らないインデックス投資」と不動産投資を軸にした資産形成を続けています。
しかし、スタートは決して順調なものではありませんでした。
むしろ、典型的な失敗パターンをひと通り経験した、と言ってもいいくらいです。
個別株で短期売買を繰り返し、
ニュースに振り回され、
SNSや噂の「上がりそうな銘柄」に飛びつき、
結果として損失だけが積み上がっていく。
あるときには、保有していた金融資産のほとんどを失いかけました。
画面に表示された真っ赤な数字を見つめながら、
「これは現実なのか」と呆然としたのを、今でもはっきり覚えています。
その夜はほとんど眠れず、
「自分は何をしているんだろう」と自分を責め続けました。
しかし、その失敗があったからこそ、私は本気で学び始めました。
- 投資の本を毎日読み続ける
- YouTubeで専門家の動画を見て基礎から学び直す
- 行動経済学や過去の暴落事例を調べ、感情とマーケットの関係を理解する
- 同じ本を何度も読み、読み返すたびに理解が深まる感覚を味わう
その過程で、私は一つの結論にたどり着きました。
「普通の会社員・子育て世帯が、再現性高く資産形成を成功させるなら、低コストのインデックス投資こそが中核である」
派手さはありません。
すぐに大金持ちになれるわけでもありません。
ただ、淡々と積み立てて、暴落が来ても売らずに持ち続ける。
その「地味で退屈な戦略」を、
自分自身の資産を使って、長年続けるなかで確信に変わりました。
■ あなたの資産を守る「最後のフィルター」は、あなたの目
FPという資格そのものは、あくまでスタートラインです。
資格を持っているからといって、必ずしも資産形成に成功しているわけではありませんし、
相談者のために本気で動いてくれるとは限りません。
だからこそ、「誰を信じるか」を決める最後のフィルターは、あなた自身の目である、ということを忘れないでほしいのです。
そのために必要なのは、「膨大な知識」ではありません。
まずは、次のポイントを押さえておくだけでも、騙されにくくなります。
- 高コストの商品は、長期では不利になりやすい
- インデックス投資は時間を味方につける仕組みであり、短期で一喜一憂しないことが重要
- 暴落は避けられない前提であり、むしろ安く買えるチャンスにもなる
- 本当に必要な保険は限られており、「貯蓄」と「保障」をごちゃ混ぜにしない方がいい
これらを少しずつ理解していけば、
FPから提案を受けたときに、
「その提案は本当に妥当か?」と立ち止まることができるようになります。
ファイナンシャルプランナーは、あなたの人生をサポートしてくれる心強い存在になりうる一方で、
選び方を間違えると、あなたの資産形成を遠回りさせてしまう存在にもなりえます。
だからこそ、肩書きではなく、「その人がどんな人生を歩んできたのか」「どんな価値観でお金と向き合っているのか」に目を向けていただきたいと、心から思います。
■ まとめきらずに、あえて余白を残しておきたいこと
この記事で書いてきたことは、FP業界の一側面に過ぎません。
もちろん、真摯に学び、実践し、相談者のために全力を尽くしているFPもたくさんいます。
一方で、資格や肩書きだけが先行し、自分自身の資産形成は中途半端なまま、
「お金のプロ」として人前に立っているケースも確かに存在します。
その中で、
「誰の言葉を信じるか」
「誰に自分と家族の未来を託すか」
を決めるのは、最終的にあなた自身です。
完璧な答えはありません。
ですが、少なくともこの記事が、
「FPを肩書きで選ばない」という小さな意識の変化につながれば、
それだけで書いた意味があると思っています。
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