
年収1500万円・金融資産3000万円世帯でも教育費が不安になる理由
──共働き世帯が「貯金を取り崩さず」老後まで設計する現実的な資産形成
共働きで世帯年収1500万円。
金融資産は3000万円あり、年間の貯金も300万円できている。
一見すると「お金の心配は少なそうな家計」です。
しかし、実際の資産形成相談では、この条件でも強い不安を感じている世帯は少なくありません。
本記事では、
- なぜこの水準の家計でも教育費が不安になるのか
- 教育費と老後資金を同時に成立させるには何が必要か
- 「貯金を取り崩さない」ために必要な考え方
を、具体的な相談事例をもとに整理します。
一見「盤石」に見える家計の内訳
今回取り上げるのは、次のような共働き世帯です。
- 夫:48歳/年収1000万円
- 妻:42歳/年収500万円
- 子ども:10歳・6歳
- 世帯年収:1500万円
- 金融資産:3000万円
- 預貯金:2500万円
- 有価証券:500万円
- 年間貯金額:約300万円
数字だけを見れば、かなり優秀な部類に入ります。
それでも、相談のテーマは明確でした。
上の子が大学に進学している間も、家計を黒字で回したい
教育費と老後資金を同時に考えると、正直しんどい
できれば、貯金は取り崩したくない
教育費は「金額」より「タイミング」が家計を壊す
教育費が家計に与える影響は、
総額よりも「いつ来るか」が重要です。
この世帯では、
- 上の子が18歳になるまで約8年
- 下の子とは4歳差
という条件があります。
つまり、
- 教育費が増え始める時期
- 老後資金を本格的に貯めたい時期
が、ほぼ重なってくる。
ここで多くの家庭が、
- 今は教育費
- 老後は後回し
という判断をします。
しかし、この方法には問題があります。
「貯金を取り崩す」設計が抱える構造的リスク
一般的な家計設計では、
- 教育費 → 預貯金から支出
- 老後資金 → その後に再び貯蓄
という流れがよく採用されます。
理屈としては成立しますが、実務では次のような問題が生じます。
- 貯金残高が減り続ける心理的ストレス
- 想定外の支出(病気・介護・転職)への耐性低下
- 老後資金の再スタートが遅れる
この相談者も、まさにこの点に違和感を覚えていました。
今回の目標設定:8年後までにCF500万円
そこで設定した目標が、次の一文に集約されます。
「子どもが18歳になる8年後までに、資産からの収入で年間CF500万円を作る」
ここでいうCF(キャッシュフロー)とは、
- 給与とは別に
- 家計を下支えする
- 継続的な収入
を指します。
この目標が達成できれば、
- 教育費が来ても家計は黒字
- 老後資金も同時に積み上げられる
という構造が成立します。
なぜ収益不動産を使うのか
この世帯の場合、収益不動産を使う合理性は高いと判断しました。
理由は次の通りです。
- 世帯年収が高く、融資耐性がある
- すでに3000万円の金融資産がある
- 8年という時間的余裕がある
ここで重要なのは、
「不動産で一発当てる」ことではありません。
家計を壊さず、時間を味方につけることです。
想定した不動産モデルとCF水準
想定したのは、新築木造アパート。
1棟あたりの前提は、以下のような水準です。
- 年間家賃収入:約840万円
- 年間経費・返済後の手残り:年間約200万円
この水準を、
- 1棟 → CF200万円
- 2棟 → CF400万円
- 3棟 → CF600万円
と積み上げます。
目標はCF500万円ですが、
あえて600万円を取りにいく設計としました。
理由は、空室や修繕などのブレを吸収するためです。
家計を圧迫しない購入ペース
購入ペースは、次の通りです。
- 1棟目:現在(夫48歳)
- 2棟目:3年後(夫51歳)
- 3棟目:さらに4年後(夫55歳)
2〜3年に1棟。
このペースであれば、
- 家計黒字(年間300万円)
- 不動産CF
を使って、次の自己資金を用意できます。
重要なのは、
毎回「余力を残したまま」進めることです。
教育費が「調整可能な支出」に変わる瞬間
7年後、夫55歳時点。
- 不動産CF:年間600万円
- 家計黒字:年間300万円
合計すると、年間900万円の余力があります。
この状態になると、教育費の位置づけが変わります。
- 家計を壊すリスク → 低下
- 支出の主役 → 調整項目
特にこの世帯では、子どもが4歳差のため、
大学在学期間が完全には重なりません。
この点も、家計を安定させる要因になります。
不動産CFは老後資金にそのまま転用できる
教育費は主に家計黒字から対応できるため、
不動産CF600万円は老後資金の原資として機能します。
仮に8年間積み上げれば、
- 600万円 × 8年 = 4800万円
さらに、
- 有価証券(年5%運用想定)
- 夫婦の年金(目安:月30万円前後)
を組み合わせることで、
老後の選択肢は大きく広がります。
不安が消えた理由は「収入」ではない
この相談で印象的だったのは、
相談者の次の言葉です。
貯金を取り崩さなくていいと思えた瞬間、気持ちが楽になりました
不安が消えた理由は、収入が増えたからではありません。
家計の構造が変わったからです。
- 給与一本足打法からの脱却
- 教育費と老後資金を同時に見通せる設計
- 「減る貯金」から「生む資産」への転換
これが、資産形成の本質だと考えています。
まとめに代えて
教育費と老後資金は、切り離して考えるほど苦しくなります。
むしろ、
- 時間があるうちに
- 同時に設計する
ことで、家計は驚くほど安定します。
「貯金を崩したくない」という感情は、
弱さではなく、健全な家計感覚です。
その感覚を否定せず、
数字と構造で成立させる。
同じような不安を抱える共働き世帯にとって、
一つの考え方の参考になれば幸いです。
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