時短勤務で年金はどう変わる?育休復帰後に知っておきたい「年金を守る制度」と現実的な対処法
育休から復帰するタイミングで、時短勤務を選ぶ方はとても多いです。
子どもとの時間、体力、家庭とのバランスを考えれば、自然で合理的な選択だと思います。
ただし、ここで一つだけ、ほとんど語られない論点があります。
それが、将来の年金への影響です。
「年金はまだ先の話」「今は手取りのほうが大事」
そう感じるのも無理はありません。ですが、制度の仕組みを知らないまま時短勤務に入ると、
あとから静かに不利が積み上がることがあります。
なぜ時短勤務が「将来の年金」に影響するのか
会社員が加入している厚生年金は、
給与(正確には標準報酬月額)をもとに計算されます。
時短勤務になると、多くの場合で給与が下がります。
すると、社会保険の等級である標準報酬月額も下がります。
標準報酬月額が下がると、
- 毎月の社会保険料は安くなる
- 一方で、将来の厚生年金額も下がる可能性がある
という、表裏一体の関係になります。
ポイント
時短勤務そのものが悪いわけではありません。
問題は「制度を使わずに放置してしまうこと」です。
まず押さえたい制度①:育児休業等終了時報酬月額変更届
育休復帰後、給与が下がった場合に多くの人が案内されるのが、
育児休業等終了時報酬月額変更届です。
この制度を使うと、
- 通常の定時改定を待たずに
- 社会保険の等級を早めに見直し
- 保険料負担を現状の給与水準に合わせられる
というメリットがあります。
制度の公式案内(日本年金機構):
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/ikuji-menjo/20150407.html
この制度は比較的知られており、
会社の人事担当から案内されるケースも多いです。
ただし、この制度だけで終わると注意が必要です。
見落とされがちな制度②:養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置
時短勤務で標準報酬月額が下がると、
将来の年金額も下がる可能性がある。
この「不利」を緩和するために用意されているのが、
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置です。
この制度は何をしてくれるのか
簡単に言うと、こういう制度です。
子どもが3歳になるまでの養育期間については、
実際の給与が下がっていても、
時短前の高い標準報酬月額で年金を計算してくれる
つまり、
- 今の保険料は軽くなり
- 将来の年金は下がりにくくなる
という、子育て世代のための救済措置です。
制度の公式説明(日本年金機構):
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/menjo/20150120.html
なぜこの制度は「知られていない」のか
この制度、実はかなり知られていません。
- 制度名が難しい
- 頻繁に使う手続きではない
- 会社側でも前例が少ない
その結果、
「そんな制度は聞いたことがない」
「これまで適用したことがない」
と、人事担当や労務担当に言われることもあります。
ですが、これは会社独自の制度ではありません。
国が定めた正式な年金制度です。
申請案内ページ(日本年金機構):
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/menjo/20141203.html
「案内されなかった=使えない」ではない、という点が重要です。
現実的な対処法:人事に確認すべきことは2つだけ
忙しい子育て期に、制度を全部理解するのは大変です。
ですが、最低限これだけ確認すれば十分です。
この2点を、URL付きで淡々と確認するのが最もスムーズです。
まとめ:時短勤務で損をしない人の共通点
時短勤務は、子育て期においてとても価値のある働き方です。
問題は働き方ではなく、制度を知らずに通り過ぎてしまうことです。
- 社会保険料を調整する制度
- 将来の年金額を守る制度
この2つは役割が違います。
セットで理解しておくことで、今と将来のバランスが取れます。
国の制度は、基本的に「申請した人だけが使える」仕組みです。
だからこそ、知っているかどうかが、そのまま差になります。
子育て世代に必要なのは、完璧な知識ではなく、
「知らないまま損をしない」ための最低限の理解です。
▼ 共働き世帯の家計・資産形成を体系的に学びたい方はこちら
共働きサラリーマン資産家夫婦の売らないお金の学校
